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防火管理者がしないといけない消防訓練は簡単なことでも良い

消防訓練

防火管理者がしないといけない仕事の中に、消防計画に書いてある消防訓練があります。
消防訓練って聞くと

防火管理者

なんだか大掛かりになってしまうイメージ

防火管理者

仕事があるから訓練の時間なんてない

防火管理者

社員全員が集まるのは難しい

クマ

などなど消防訓練について難しいイメージを持っていませんか?

ですが消防訓練と言っても大掛かりにすることもないし、社員全員を集めてしないといけないってこともありません。

目次

消防訓練の必要性

普通に生活していて火災の被害にあう人ってどれぐらいの確率なんでしょうね?しかも仕事中にです。
中には人生のうちに何回も火災の被害にあったなんて人も居るかもしれませんが、普通は火災なんてそうそう有るわけじゃありません。

そんな遭遇する機会の少ない火災に対応できるよう、初期消火や通報、避難誘導の方法を社員などに教えることは、「時間の無駄で、どうせやるだけ無駄」だと言う主張もあります。

しかし、むしろ発生の確率が低いからこそ万一を想定して日ごろから訓練をしておくことが火災が発生したときに、被害拡大を防止することにつながる唯一の方法だと言えます。

人間は突発的に災害に遭遇するとパニックになりやすいものです。このパニック状態になるのを防ぐためには普段から火災などを想定して、消防訓練をして、体験を積むことが重要なのです。

こどもの頃は幼稚園・保育園、学校で避難訓練を何度もやったと思います。
もしも学校で火災が発生したとしても、子どもたちはすぐに避難できると思います。それは日ごろから訓練をして煙の怖さや、早く避難することの重要性を身に着けているからです。

釜石の奇跡

東北大震災のときに、釜石小学校の生徒は普段から地震が来たら津波が来るという想定で避難訓練をしていたため、あの3.11のときに生徒全員が助け合いながら高台に避難して全員が助かったそうです。

それだけ普段からの訓練が大事ってことですね。

消防訓練をする前に

消防訓練をする場合は、事前に管轄の消防署に「消防訓練届出書」を届け出しておきましょう。訓練の日に間に合わなかった場合は後日でも大丈夫です。
届け出することは消防法で書かれていますし、消防も訓練をしたことが台帳に整理できます。

また印鑑の省略という流れもあり最近はネットから届け出が可能となっていたりFAX、メールでの届け出が可能となっている消防もあるようです。

消防訓練の内容

消防訓練は大きく分けて「通報訓練」、「消火訓練」、「避難訓練」の3つに分けることができます。
それぞれ見ていきましょう。

それぞれの訓練の最後に簡単な訓練方法を書いておきますね

通報訓練

通報訓練


通報と聞くと「119番」通報を思い浮かべると思いますが、通報には社員や来客者などへの非常放送や関係各所への連絡も通報になります。

クマ

非常放送設備や店内放送設備がある所は。有効な避難誘導が出来ますね。

消防への通報は「119番」です。携帯からでも発信できますので、そのまま「119」を押してください。
訓練で実際に119番通報をしたい場合は、事前に最寄りの消防署へ連絡してください。そうしないと、いきなり119番通報したら本当の火災と思われて消防車が出動してきます。

実際に訓練で119番を勝手にして消防車が出動した事例もありました。

119番通報訓練

いざというときに、119番通報で必要なことを喋るのは慌てるし緊張するしで、かなり難しいと思います。
通報するときに必要な内容をあらかじめ書いておき電話の近くに貼り付けておくと、もし119番通報をするときが来ても、その内容を見ながら言えば良いので少しは落ち着いて通報できるでしょう。

119番通報する場合は、次の内容を落ち着いて、はっきり通報してください。

119番通報時に伝えること
  • 火災なのか救急なのか
  • 現場の住所
  • 会社などの名前
  • 燃えている建物
  • 分かれば燃えている物
  • 逃げ遅れやケガ人の有無
  • 通報者の名前
  • いまかけている電話番号
クマ

119番を受ける勤務もしていましたが、状況や場所を聞いても早く来いの繰り返しで、必要なことを答えてくれないことが多々ありました。

非常放送

非常放送をする場合に最も重要なことは、火災が発生した場所、状況を早く把握して初期消火や避難誘導の動きを放送することです。

非常放送で放送しないといけない内容は、次のようなものがあります。

感知器が作動した場合

現場確認指示などの放送
「ただいま○階の○○で火災感知器が火災を感知しました。近くの係員は直ちに異状の有無を確認してください。」
「お客様は慌てずに次に流れる放送を十分注意してお待ちください。」

確認の結果、火災でなかった場合

現場確認結果の放送
「お客様にお知らせします。現場確認の結果、火災ではありませんでした。」

火災が確認された場合

消火・避難指示の放送
「お客様へお知らせします。ただいま○階の○○で火災が発生しました。走ったり前の人を押すと危険ですので、慌てずに従業員の指示に従って避難してください。避難には、エスカレーターおよびエレベーターは使用しないでください。」
「○階の消火班はただちに初期消火作業、避難誘導班は誘導位置に着いて避難誘導に当たってください。」

クマ

実際に119番しなくても、内線でお互いに通報の内容の確認などをしても良い訓練になります。

消火訓練

消火訓練


設置している消火器や屋内消火栓などの使い方や設置している場所などを知っておく必要があります。

過去の火災事例には、消火器や屋内消火栓の「使い方を知らなかった」、「出火場所近くの屋内消火栓を使用せずに、遠くの場所にある消火器を取りに行った」というように、小さな火で消し止めるチャンスがあったのに、そのチャンスを逃してしまい火災を大きくしてしまった事例が多くあります

消火器や屋内消火栓の設置場所だけでなく、スプリンクラー制御弁の位置も知っておかないと、制御弁を閉じるまではスプリンクラーから水が出っぱなしになるので、故障でスプリンクラーが作動した場合など水びたしになってしまいます。

実際に消火器を使った訓練をする機会はなかなかないでしょうから、消防署に連絡して水消火器を使用して訓練をしたいと言えば、消防に予定がなければ指導に来てくれますし、水消火器を貸し出してくれる場合もあります。

定期的に消防用設備の点検を実施していると思いますが、その点検に併せて消火器や屋内消火栓の訓練をするのも良いと思います。

クマ

倉庫やトラックなどの清掃に屋内消火栓を使用していた会社もありました。設備は会社のために有るので、訓練も兼ねて良いと思います。

ポイント

消火訓練で使用方法がわかっていても、実際の火災で消火器や屋内消火栓の消火能力にあまり大きな期待を持たず、いつまでも消火活動に固執することなく、消せないと思ったら素早く自分たちが避難することが大事です。

また、朝礼などで消火器や屋内消火栓、スプリンクラー制御弁の設置位置を確認するのも消火訓練です。

避難訓練

避難訓練


火災のときに使用する、避難階段、救助袋、避難はしごなどの避難設備や避難器具の設置場所や使用方法を知らなかったために、避難誘導がうまくできずに、逃げ遅れて亡くなるといった事例もあります。

消火設備とあわせて普段から全員が知っておくことが重要です。

避難設備を使った訓練

避難器具を使った訓練も普段使用することはないと思うので消防用設備の点検に併せてするのが一番良いでしょう。
滑り台や救助袋、緩降機は実際の使用体験があるかないかで、いざというときに正しく安全に使用することができるか決まります。

もし訓練で使用できる機会があれば積極的に参加させたほうが良いでしょう。消防士でも体験したことがある人の方が少ないと思いますよ。

避難誘導の訓練

一般的な会社での避難誘導訓練の進め方を紹介すると次のとおりになります。
※設備などについては設置されていると仮定します。

  • 火災発生場所・延焼状況について、非常放送などで従業員に知らせる
  • 避難誘導担当者を指定の場所へ配置するよう指示を出す
  • 避難誘導担当者から来客者などへ避難場所・避難方法を伝えて誘導にあたる
  • 防火戸や防火シャッターの閉鎖、避難口の開放
  • 排煙設備を起動させ空調設備を停止する
  • 避難器具の設定して避難者を避難させる
  • 避難者の確認をして逃げ遅れの有無の確認
ポイント

避難口や避難通路の確認や誘導灯が店内ポスターなどで見えなくなってないか、みんなで確認するのも避難訓練です。

まとめ

消防訓練をしないといけないことは防火管理者なら知っていると思いますが、なかなか訓練をするときがないと思います。

ですが簡単に出来る訓練として、消火器の位置を確認したり119番通報の仕方を確認したりとちょっとしたことでも全然問題ありません。

簡単にできる訓練方法を見て、「こんなことでも良いの?」って思ったかもしれませんね。
ですが、まずは消防訓練を難しく考えずに出来ることからやってみるのはどうでしょうか?消火器の位置の確認や通報内容の確認など簡単な内容ですが、訓練でやってないとわからないことです。

訓練についての心構えみたいなもので好きな言葉があります。
「訓練は現場のように、現場は訓練のように。訓練で出来ないことは現場でも出来ない。」です。訓練はつねに本当の現場を意識して緊張感をもち、現場では訓練でやったことを慌てず焦らず活動することが大事だと言っているのだと私はとらえているからです。

「現場では訓練でやったこと・・・」と言うとおり、訓練でやっていないことは本番でも出来ません。
これは訓練だけでなく日々の仕事でもそうですよね。

防火管理者が作らないといけない消防計画はこちらをどうぞ

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