危険物の分類の中でも身近な存在である第4類危険物。
ガソリンや軽油、灯油などが当てはまります。
これらは消防法により「引火性の液体」と定義されており、日々の産業活動に欠かせない存在です。
しかし、その取り扱いには細心の注意を要し、安全管理が極めて重要となります。
本記事では、第4類危険物の基本的な性質や特性、そして適切な取り扱い方法について、法規制を踏まえた実践的なアプローチを紹介します。
記事の最後には、理解度確認テストを用意していますので、最後までご覧ください。
危険物第4類
第4類危険物は、消防法によって定められた危険物の一種で、引火性の液体です。
これらの物質は、その性質や特性に応じて、さらに細かく分類され、適切な取り扱いや保管が求められます。
主な特徴として、引火点に基づく危険等級が設定されています。
- 特殊引火物(引火点-20℃以下)
- 第一石油類(引火点21℃未満)
- 第二石油類(引火点21℃以上、70℃未満)
- 第三石油類(引火点70℃以上、200℃未満)
- 第四石油類(引火点200℃以上、250℃未満)
- 動植物油(引火点250℃未満)
共通する性質
第4類危険物の共通する性質としては下記のとおりとなっていますが、すべての物質がこれらの性質を持つわけではありません。
- 液体である
- 引火性を有する
- 水よりも軽い
- 電気の不良導体である
- 有機化合物である
例外的な性質を持つ物質も存在し、例えば、「水よりも軽い」に該当しないものとしてグリセリン、アニリン、ニトリベンゼンなどがあり、「水に溶けない」という性質に該当しないものとしてエチレングリコール、酢酸、アセトンなどがあります。
安全対策
第4類危険物の安全な取り扱いにおいては、容器を密閉し、蒸気が低所に滞留しないように適切な換気を行うことが重要です。
また、火気を避け、防爆構造の電気設備を使用することが推奨されます。
静電気対策
特に、第4類危険物の多くは水に溶けない不良導体であり、静電気が発生しやすく、火花放電によって点火源となる危険性があります。
このため、静電気を発生させないような措置や、発生した静電気を安全に逃がすための接地などの対策が必要です。
送油作業においては、流速を小さくして摩擦を減らす、湿度を高く保つ、帯電防止服や靴を着用するなどの静電気対策が効果的です。
これらの特性や取り扱い上の注意点を理解し、適切に対応することで、第4類危険物による火災や事故のリスクを低減できます。
その他
第4類危険物の安全な取り扱いは、その性質を正確に理解し、適切な保管方法、運搬手段、使用上の注意を厳守することが重要です。
また、法令に基づく適切なラベリングや安全データシート(SDS)の提供が、事故を未然に防ぐためには欠かせません。
消防法や関連した法令やガイドラインの遵守により、第4類危険物の取り扱いに関わるすべての人々の安全を保証することが可能になります。
理解度確認テスト
問題の下に答えと解説があります。
問1 第4類危険物は消防法によってどのように定義されていますか?
- A. 不燃性の液体
- B. 引火性の液体
- C. 爆発性の粉末
- D. 放射性の固体
答え
B. 引火性の液体
第4類危険物は消防法によって「引火性の液体」と定義されています。これには燃えやすい液体が含まれ、特定の温度(引火点)で容易に発火する性質を持っています。
問2 引火点が21℃未満の危険物はどの危険等級に分類されますか?
- A. 特殊引火物
- B. 第一石油類
- C. 第二石油類
- D. 第三石油類
答え
B. 第一石油類
引火点が21℃未満の危険物は、第一石油類に分類されます。この区分には、非常に引火しやすい液体が含まれ、火災や事故のリスクが高いため、特別な注意が必要です。
問3 第4類危険物の取り扱いで推奨されるのはどれですか?
- A. 容器を開放して保管する
- B. 蒸気を低所に滞留させる
- C. 防爆構造の電気設備を使用する
- D. 高湿度環境を避ける
答え
C. 防爆構造の電気設備を使用する
第4類危険物の取り扱いでは、火花や静電気による事故の防止のため、防爆構造の電気設備の使用が推奨されます。これにより、発火のリスクを最小限に抑えることができます。
問4 第4類危険物の取り扱いにおいて、静電気を安全に逃がすための対策として適切なのはどれですか?
- A. 容器や機器を接地する
- B. 容器をプラスチック製のものにする
- C. 蒸気を上部から排出する
- D. 湿度を低く保つ
答え
A. 容器や機器を接地する
静電気が発生すると、火花放電によって第4類危険物が引火する危険性があります。容器や機器を接地することで、静電気を安全に地面に逃がし、発火のリスクを減らすことができます。
問5 次のうち、水に溶ける性質を持つ第4類危険物はどれですか?
- A. ニトリベンゼン
- B. エチレングリコール
- C. グリセリン
- D. BとCの両方
答え
D. BとCの両方
エチレングリコールとグリセリンは、水に溶ける性質を持つ第4類危険物の例です。これらの物質は、水に溶けやすいため、溶解性を考慮した安全対策が必要となります。
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