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【現場は逼迫】救急車をタクシー代わりに使う人は実在する

救急車

救急出動の件数は年々増加して社会問題にもなっていますね。

総務省消防庁の現況によると令和3年(2021年)中の救急出動は619 万件で、平成13年(2000年)の440万件からかなり増加しているのが分かります。

救急件数が増加することの何が問題なのかと言うと、救急車を要請してから現場に到着するまでの時間が長くなるってことです。

先程の現況によると、救急車の現場到着所要時間は全国平均で約 9.4 分となっています。

私が消防に入った頃は6分とかだった気がするので、平均9分台ってかなり長いですよね。

早く助けて欲しいのに救急車はなかなか来ないって状況が全国で多発しているってことになります。

高齢化社会に進んでいて、救急が必要な人も増えているのは理解できます。でも、件数から計算すると1日平均約1万6千件出動して、約5秒に1件出動していることになりますが、実際に呼んだことのある方はどれぐらいなのでしょうか?

そして実際に救急車が必要だった人はどれぐらい居るのでしょうか?

この記事では救急車の適正利用をお願いするのと、実際に救急車をタクシー代わりに使っている人の事例を紹介します。

目次

救急車をタクシー代わりに利用

救急隊として出動していた頃に遭遇した、救急車のタクシー事案などを何件か紹介しましょう。

  • 「腰が痛く動けない」
    • 玄関前で入院の準備をして待っていた。当然歩いて救急車に乗車
  • 今日病院に行く予定だったけど、タクシーを使うとお金がもったいないので救急車を呼んだ
  • 「子供が指先を切った」
    • 紙で少し切っただけで出血も止まっていた
  • 「倒れて意識がない」
    • 酔っ払って寝ていて、一緒に飲んでいた人が困っただけ
  • 蚊に刺されたみたいでかゆい
  • 「全身が痛い」
    • 日焼けして赤くなっていた
  • 救急車で行けば早く診てもらえると思った
  • 「不安」
    • 誰かに話を聞いてほしかった
  • 「子供が30分くらい泣き止まない」
    • 到着時は泣き止んでて救急車はいりませんと言われた
  • 「病院に連絡したら救急車で来てくださいと言われた」
    • 病院に確認したら、救急車で来てくださいとは言っていなかった
  • 「ベッドから落ちて動けない」
    • ヘルパーさんに連絡がとれなかったから呼んだ。ベッドに上げてくれたら大丈夫

以上のように、ちょっと思い出すだけでも、たくさん出てきます。
タクシーとはちょっとニュアンスが変わってくるかもしれませんが、常連さんもたくさんいました。

週に何回も何回も救急車を呼ぶ人とか転院搬送を1日に何度も呼ぶ個人病院とか・・・

市民

救急車なら無料で行けるし、早く診てもらえるじゃないか

クマ

早く診てもらえるかは病院に行かないと分かりません。それに救急車で行くと診察代が高くなりますよ?

救急車をタクシー代わりにする問題点

タクシーのようにたくさん救急車はありません。タクシー代わりに利用されていると問題が発生してきます。

それは、救急車が通報から現場到着するまでの時間がどんどん伸びていることです。
平成28年の救急車到着までの時間は平均8.5分です。5分とか6分とか言っていたのに、9.4分になってます。
あくまで平均なので、遅い時には20分以上もかかることもあるのです。

重症な傷病者にとって1分2分はとても大切な時間です。その時間がタクシー代わりに利用する人たちによって奪われることがあってはいけないと思うのです。

令和3年のデータによると、救急車で搬送された人は5,491,74人です。そのうちの44.8%は入院の必要もなく帰宅しています。

救急車利用の有料化

救急車の利用に関して、有料化の話は過去に何度もでて今も検討されています。

救急車の利用を有料化することで、軽症者やタクシー代わりに使う人が利用をためらうのではないかという理論です。

病院受診後に「軽症と診断されたら救急車の料金を払うようにしたら良いのではないか」とか「一律いくらかの料金を取れば良いのではないか」とか意見はたくさんあります。

そもそも救急車が無料で利用できるのは、昭和38年の救急業務法制化のときに、消防審査会で「救急業務に要した費用は、徴収しないものとすること。」とされたからです。

救急業務は消防の任務のひとつなので、料金が発生しないようにもされました。

有料化への問題点

有料化にしてもタクシー代わりに利用する人は利用するでしょう。きっとその人たちは

市民

料金を払うのだから問題ないだろ

救急車の利用に料金を払わないといけないので、本当は救急車が必要な症状であってもためらったりするケースが出てくることも想像できるからです。

特に無料で使えるいまでも田舎のお年寄りに多いのが、救急車を呼んだら消防に迷惑かけるからと我慢して症状が悪くなっていることがあります。

救急車のタクシー代わりを防ぐために有料化をすることで問題が出てくることもあるのです。

海外のように何万円も請求されるようなことにはならないでしょうけどね。

#7119で相談してみよう

市民

どんなときに救急車を呼んで良いか分からない

救急車を呼ぶべきかどうかを相談できる電話番号があります。#7119(救急安心センター事業)です。

急な病気やケガをしたときに、救急車を呼んだほうがいいのか、今すぐ病院に行ったほうがいいのかなど迷ったときに、専門家から365日24時間、電話で相談してアドバイスを受けることができます。

相談を通じて、病気やけがの症状を把握した上で、アドバイスをしてくれます。

  • 救急相談~緊急性の有無、応急手当の方法、受診手段
  • 医療機関を案内

日曜祝日などは個人病院の開いている当番表がありますが、土曜などは無いため#7119に電話して開いている病院を教えてもらいましょう。

#7119は、まだ全国に普及していないので次の都道府県と一部の市のみの利用になります。

市と周辺を含むエリアで利用可能

  • 札幌市(周辺含む)
  • 横浜市
  • 岐阜市(周辺含む)
  • 神戸市(周辺含む)
  • 田辺市(周辺含む)
  • 広島市(周辺含む)

都府県全域で利用可能

  • 宮城県
  • 茨城県
  • 埼玉県
  • 東京都
  • 新潟県
  • 京都府
  • 大阪府
  • 奈良県
  • 鳥取県
  • 山口県
  • 徳島県
  • 福岡県

#7119での相談は無料ですが、通話料は利用者の負担になります。

まとめ

救急件数は今後も増え続けていくことが予想されます。件数が増えるということは、救急車が到着するまでの時間もどんどん伸びるということです。

救急車の利用を有料化してタクシー代わりの利用を減らすという考えの前に、ひとりひとりが救急車の利用について考える必要があると思います。

救急車を利用するべきか迷った時は#7119という相談窓口もあるので、利用できる地域に住んでいる方は相談してみてはどうでしょうか?

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