火災はとても怖いものです。家や財産、そこにあった思い出さえすべてを焼き尽くしてしまい、時には尊い命さえも奪ってしまします。
発生件数
では、全国でどの程度火災が発生しているのでしょうか?総務省消防庁のデータによると、平成29年には39,198件もの火災が全国で発生しました。これは1日あたり107件もの火災が発生していることになります。
すべてが建物火災ではありませんが、1日平均で107件もの火災が発生しているとは驚きですね。
火災の発生件数39,198件の種別ごとの件数は以下の表のとおりとなっています。
建物火災 | 21,280件 |
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車両火災 | 3,840件 |
林野火災 | 1,281件 |
船舶火災 | 68件 |
航空機火災 | 6件 |
その他火災 | 12,723件 |
火災件数の建物は一般住宅や工場、倉庫などが含まれるので建物火災が全火災発生件数の約半数を占めるといった結果となっています。
火災件数をご覧になったと思いますが、そもそも火災の件数ってどのように計上するかご存知でしょうか?
消防機関が火災とする定義があるのでご紹介します。
「火災」とは人の意図に反して発生し若しくは拡大し、又は放火により発生して消火の必要のある燃焼現象であって、これを消火するために消火施設又はこれと同程度の効果のあるものの利用を必要とするもの、又は人の意図に反して発生し若しくは拡大した爆発現象をいう。
又はとか若しくはとか出てきて法律用語っぽくなっていますが、簡単に言えば次のとおりとなります。
- 人の意図に反して発生したのか、拡大したのか、放火なのか。
- 消火する必要があったのか。
- 消火するために消火施設か同程度の効果のあるものを必要とするのか。
- 人の意図に反して発生したか拡大した爆発現象。
このすべての要件を満たした事象を消防機関は火災として計上します。
この火災の定義については、また後日詳しく書こうと思います。
火災の原因
火災の出火原因を上位からみてみましょう。
原因 | 発生件数と割合 |
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たばこ | 3,697件 9.4% |
放火 | 3,465件 8.8% |
こんろ | 3,011件 7.7% |
たき火 | 2,831件 7.2% |
放火の疑い | 2,291件 5.8% |
放火と放火の疑いを合わせると5,756件 14.7%と高い割合になっていることがわかると思います。
火災調査の結果、原因不明となる報告書が大多数を占めるのですが、原因がはっきりしているなかでこれだけ放火、放火の疑いが多いのには困りますね。
放火、放火の疑いの件数が多い都道府県は東京都、神奈川県、埼玉県、大阪府、千葉県、愛知県の順になっており大都市圏を抱える都道府県はやはり件数も多くなっているみたいです。
私が勤務していた消防本部でも何年かに1度は連続して放火、放火の疑いの火災が続いて夜間に消防車両で警戒に当たるってこともありました。
警察としては犯人を逮捕したいので消防車で警戒に当たってはほしくないようでしたが、私達としては火災が発生してほしくありませんし、その辺のせめぎあいも多少はありましたね。
放火への刑罰
放火は犯罪行為の中でも特に厳しく罰せられることはご存じでしょうか?
特に実際に住んでいる建物に放火すると現住建造物等放火罪として、死刑または無期もしくは5年以上の懲役と定められています。
この刑罰は殺人と同じぐらいの刑罰みたいですね。日本は昔から木造家屋が多く、火災が発生したら大火になるおそれが強かったから厳しい刑となったのでしょう。
なぜ放火がなくならないのか
放火犯の心情は放火犯にしかわからないでしょうけれど、だいたい次のように分けられるみたいです。
- 住民に恨みがある。快く思っていない。
- 愉快犯
- 保険金目当て
- 犯罪行為の隠蔽
- 憂さ晴らし
放火されにくくするためには
放火をされにくい家、されにくい自治会にしていきましょう。
- 家の周りには燃えやすいものを置かない。
新聞紙を束ねたものやダンボールなどを外に放置してると放火犯の餌食になりやすくなります。なるべく外に放置しないようにしましょう。
- ゴミ出しは夜中にしない。
一部地域では夜間にゴミの回収が行われているようですが、朝にゴミ出しするのが面倒(眠たい)といった理由で夜中にゴミステーションに捨てないようにしましょう。
- 家のまわりを明るく
暗がりをなくし、人目につくようすると不審者が近づきにくくなります。
- 車などのボディーカバーに防炎製品を使う
車やバイク、自転車のボディーカバーに放火されるケースもあります。燃えにくい防炎製品の使用が効果的です。
- 洗濯物を干しっぱなしにしない
夜中に干してある洗濯物に放火される場合もあるので、どうしても干さないといけない場合は室内などで干してください。
まとめ
火災の多くが放火、放火の疑いにより発生しています。
放火犯も行き当たりばったりで火をつけているわけではなく、犯行を行いやすい家や場所を探して放火しているのだと思うので、一人ひとりが気をつけることで放火されにくい環境にしていきましょう。