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火災とはどのような現象で消火の方法は?

目次

火災とはなにか

火災とは消防職員なら誰でも持っているであろう「火災報告取扱要領」に火災の定義があります。

「火災」とは人の意図に反して発生し若しくは拡大し、又は放火により発生して消火の必要のある燃焼現象であって、これを消火するために消火施設又はこれと同程度の効果のあるものの利用を必要とするもの、又は人の意図に反して発生し若しくは拡大した爆発現象をいう。

人の意図に反して発生し拡大したということが「火災」の定義として重要な要素を占めていて、人為的に着火させて被害が有るのを分かったうえで火災を起こしたものは放火ですね。

田畑での焼入れなどは、人為的に着火させていますが、行為者の意図に反して拡大してなければ火災ではないのです。

科学的にみた火災

火災を物理化学的にみると、最初はなにかの可燃物が熱によって、くすぶりはじめて煙を出し始める「燻焼状態」からはじまり、やがてそれが炎を出して燃え出す「着炎状態」になって、その炎が別の物に燃え移っていくようになります。

建物内で火災が発生した場合、火災の燃焼により加熱された空気は天井からだんだんとたまってきます。この空気は暖房などの温かい程度ではなく、かなり熱い空気です。

最近の住宅などは気密が良いので火災によって生じた熱気は屋外に出ることなく、建物空間の中にたまってきて天井や壁の上部が熱気により加熱され、天井や壁の仕上げ材が加熱分解されてきます。

仕上げ材からは、加熱により可燃性のガスが放出されて建物空間に充満してきます。そのガスがある瞬間に爆発的に着火、燃焼されるのです。この現象を「フラッシュオーバー」と呼びます。

フラッシュオーバー現象が生じると、火災は一気に拡大して部屋中が炎に包まれることになります。

たとえば消火器などで初期消火をしようと思っても、フラッシュオーバーが発生してしまっていると、もう消火器では消火できません。
フラッシュオーバーが発生していなくても、消火器で消火できるのは炎が天井に到達する前までです。

燃焼の4要素と消火の原理

燃焼の4要素とは可燃物酸素反応の継続の4つです。

燃焼の4要素

物が燃えるためには、可燃物(燃える物)と酸素が必要です。
周りを見渡してもそこら中に可燃物はあるし、空気中にも酸素はふくまれています。

でも可燃物と酸素があっても火災にならないのは、そこに火をつけるための熱源がないからです。

ライターなどで加熱されると、可燃物は分解して可燃性のガスを出します。そのガスに火がつき燃え出すのです。

燃え始めると、そこが熱源となるので、加熱→分解→ガス→着火→加熱というように燃焼反応が継続するサイクルができるわけです。

消火しようと思ったら、このサイクルを止めてしまえば良いのです。

冷却消火

一般的に消火するといえば水をかけることですね。水をかけることで熱を奪う冷却消火をしているのです。

水は1グラムにつき1℃温度が上昇するために1カロリーの熱を奪います。さらに蒸発するときには539カロリーの熱を奪うのです。

冷却して熱を奪う消火方法を冷却消火といいます。

窒息消火

理科の実験などで火がついたロウソクをビーカーなどでおおうと、ロウソクの火が消えてしまったのを覚えていますか?
この実験は酸素がなくなれば、火はどうなるかという実験ですね。

空気中には酸素が21%存在していて、のこりのほとんどは窒素です。この空気中の酸素濃度が16%以下になると、火は燃え続けることができなくなるのです。

当然私たち人間も酸素濃度16%だと生きてはいけませんが・・・
このように新しい酸素が入ってこないようにしたり酸素濃度を下げたりして酸欠状態にして消火することを窒息消火といいます。

除去消火

火は可燃物がなくなれば当然消えます。燃えつきて消えてしまうことや、コンロのガスを止めるように燃える物をなくすことでも消えますね。

江戸時代の町火消達が延焼を食い止めるために家などを破壊していたのは破壊消防ですが大きな意味でいえば除去消火に分類されるかもしれませんね。

可燃物を除去して消火するので除去消火といいます。

負触媒消火

燃焼という化学反応にハロゲン系の元素(ヨウ素、臭素、フッ素、塩素など)が有効だと分かってきたので、これらのハロゲン系元素を多くふくんだハロゲン化物を使って燃焼という化学反応を妨害して抑制する消火方法が生まれました。
ハロゲン化物を使った消火方法を負触媒消火といいます。ただしこれもガスなので、密閉された空間でないと効果は薄くなります。

この消火方法は水を使用しないので、コンピュータールームなどの水がかかると問題がある場所で使用されています。

まとめ

火災の発生は燃焼の4要素がそろった時に発生します。逆をいえば、その4要素がそろわないように何らかの対処をすることで火災を消すこともできるということです。

一番コストがかからず効率よく消火できるのは水ですが、ハロゲン化物といった水を使用しない消火方法もあります。

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