消防士に拝命(採用)されて現場活動もしたし日勤もしたし通信指令室も経験しました。
20数年ですね。
当時から実は感じていたけど給料を貰って働いている限りは言わないようにしていたことがあります。
それは・・・
消防士の実態です。
このブログをどれぐらいの人が見てくれているか把握していませんが、中には消防士を目指している若者も居るかもしれません。
消防士といえば
- 燃えさかる建物の中に進入して炎の中から要救助者を救出
- 誰もが諦めるような現場で要救助者を救出
- 高度な救命処置により1人でも多くの人を救う
みたいなイメージを持つ人も多いでしょう。
ですが、日本全国の消防士のほとんどはイメージとは全く違うのです。
消防を目指す人にイメージだけではなく、実態も知ってもらいたいので記事を作成しました。
消防士のイメージを地に落としたいっていう思いは一切ありません。
消防士の仕事
消防士になるまでは、自分が知らないだけで火災も多くて救助も多発しているのだろうってイメージがありました。
火災はほとんど発生しない
建物火災はほとんど発生しません。
ましてや全焼火災なんて数ヶ月に1件有るか無いかです。
もちろん火災は無いことが一番良いのですが、皆さんがイメージしているよりも少ないです。
建物火災が減った理由としては火を取り扱うことが減っている(コンロからIH)ことやタバコを吸う人が少なくなっていることなどが考えられます。
いつかは建物火災0件なんて日が来ると良いですけどね。
燃える建物内に進入することはほぼない
木造住宅が多い日本では消防車が現場に着く頃には火災の最も炎が強い、最盛期と呼ばれる時期になることが多いです。
この最盛期の状態に消防隊を建物内へ進入させて活動させることなどありません。
よっぽど目の前に倒れていて、建物の倒壊も無さそうだと判断された場合には進入するかもしれませんが、要救助者が居るか居ないか不確定なら建物内に入ることはないのです。
救助出動はさらに少ない
救助出動の指令は火災よりも少ないです。
昔は交通事故が発生すると、簡単に車が大破して閉じ込められたりしましたが、近年はボディの剛性が高くなり多少の事故では運転席周りの変形がないのが普通です。
テロや放射線事故に備えて国が装備を貸与していますが、発生確率はかなり低いのが現状。
心臓が止まった人を助けるのは難しい
119番通報があり救急車が現場に到着するまで令和3年で全国平均9.4分です。
目の前で倒れてすぐに通報しても救急隊が到着するまで家族などが心肺蘇生法を行わなければ、救急隊が助けることは困難です。
私も数え切れないほと救急出動してきましたが、実際に息を吹き替えしたのは2例ほどでしょうか・・・
普段何をしているの?
火災も少ない、救助出動も少ないなら何をしているの?って思うでしょう。
普段は訓練や事務処理をしています。
私も消防に入って驚いたのが事務処理の多さでした。
消防って訓練や出動だけで、デスクワークなんてほとんど無いって思っていただけに驚きは大きかったですね。
届け出の処理や立ち入り検査の台帳整理など結構事務処理が有るんです。
この記事のまとめ
消防のイメージだけで入っても実際は全然違うじゃないかと転職を考える職員もいます。
確かに火災や救助も少なく、世間からイメージされている消防士の仕事とは大きくかけ離れている部分もあるでしょう。
ですが消防という組織が市民の安全安心を守っているという思いを持ってほしいと思います。