消防車の機関員(運転手)が火災現場で放水操作をする際、気をつけないといけないことが有ります。
それは、ホースの圧力損失。
圧力損失を頭に入れてなくて機関操作をすると、最悪の場合ポンプの故障や適正圧力での放水が出来ずに筒先員が危険な状態になる可能性もあるのです。
この記事では機関員が現場で気をつけておくべき圧力損失について書いていきます。
消防車の機関員が知っておくべき消防ホースでの圧力損失について
圧力損失は2種類ある
放水中にホースで損失する圧力には2種類あります。(細かく言えばたくさん有る)
- 摩擦損失
- 背圧損失
この2種類です。
それぞれ解説していきます。
摩擦損失
消防車の機関員になる際の教養を受けていたら必ず聞いたことがあるはずです。
消防学校でも習ったことがある人も居るでしょう。
水がホースの中を通過する際に、ホースの内張との間に摩擦が発生して、その摩擦が重なっていくのが摩擦損失です。
ホース数本程度では気にするまでもありませんが、10本以上延長していくと圧力の損失にも気がつくはずです。
水のようなサラサラな液体が摩擦を発生させているとは考えにくいかもしれませんが実際にホースと水の間に摩擦が発生しています。
ホースの径が小さいほど摩擦損失は大きくなるので、中継ホースは65ミリ以上のホースを使用するのが推奨されていますね。
また、ホースの長距離延長時に中継ポンプを入れるのはホースの摩擦損失により筒先に必要な圧力が届けられなくなるからです。
背圧損失
背圧損失はポンプにかかる水圧と考えれば分かりやすいと思います。
ホースをイラストのようにポンプの位置から高さ20メートルの位置に延長したとして、ホースの摩擦損失を無視すると背圧損失は0.2MPaとなります。
高さ10メートルで0.1MPaの損失があるのです。
この背圧損失はホースの径は関係なく同じ圧力損失となります。
背圧について勉強できる訓練方法を紹介すると、はしご車に補水ホースを接続してはしご車を伸梯(しんてい)します。
ポンプがアイドリング状態だとポンプ圧は0.2~0.3Mpaだと思うので、はしご車の先端が30メートル以上の高さに設定。
そうするとポンプ圧力よりも背圧が勝るので放水されません。
はしご車の先端が35メートルのときにポンプ圧を0.35Mpa以上に上げると放水されるのを確認できます。
つまり背圧分の圧力以上のポンプ圧をかけないといけないことが分かります。
この記事のまとめ
- 摩擦損失
- 背圧損失
機関員が知っておくべき2種類の圧力損失について解説しました。
教科書などにも書かれている通り摩擦損失の計算式は当然あります。
私が機関員をしているときは、そんな計算いちいちしていられないので、大体の背圧と火点までの距離を考えて放水圧力を決めていました。
圧力損失の計算式を知っておくのは大事だとは思いますが、現場は計算通りいかないのが普通です。
綺麗にまっすぐホースが延長されていたら計算通りのポンプ圧力で良いかもしれません。
ですが、実際の現場ではホースが折れていたり穴が開いたりと計算では測れない要素が多々あります。
だから機関員はアバウトでも良いので火点まてホース延長本数、高低差を考えてポンプ圧力を上下させないといけないのです。
これは訓練や現場経験で覚えていくしかないので頑張ってください。
消防車の連成計は放水量を決めるために重要なゲージです。
見方は必ず覚えておきましょう。