危険物を取り扱う場所で必要な資格や管理者

工場

危険物を取り扱うのに必ず必要な資格は、危険物の種類に応じた危険物取扱者の資格です。

危険物施設によっては、甲種または乙種の危険物取扱者の中から危険物保安監督者を選任して危険物の取り扱いに関して監督をしなくてはいけません。

他にも危険物施設保安員や危険物保安統括管理者など、危険物の安全管理体制として施設の規模に応じて規制がおこなわれています。

目次

危険物取扱者

危険物取扱者免状の種類

危険物取扱者試験に合格して免状の交付を受けた人が危険物取扱者となれます。免状には「甲種」「乙種」「丙種」の3種類があり、それぞれの危険物取扱者が扱える危険物は次の表のとおりです。

免状の種類 取り扱える危険物 立ち会い
甲種 全類 全類
乙種 指定された類 指定された類
丙種 指定された危険物 できない

丙種はガソリン、灯油、軽油、第3石油類(重油、潤滑油、引火点130℃以上のもの)、第4石油類、動植物油の取り扱いができます。

立ち会いというのは、ガソリンスタンドで例えるとつぎのようなことです。

危険物の資格を持っていない人が車にガソリンを給油するときに、乙4か甲種の資格を持った人が「その場に居たら」給油しても良いですが、丙種の資格を持った人が「その場に居ても」給油してはいけません。丙種はあくまで自分が取り扱えるだけです。

セルフのガソリンスタンドで資格を持ってないのに給油できるのは、ガソリンスタンドに乙4か甲種の資格を持った従業員が居るからなのです。

危険物取扱者の責務

危険物の取扱い作業に従事するときは、危険物の貯蔵や取扱いに関する技術上の基準を守り、その取り扱う危険物の安全について細心の注意を払わなければなりません。

移動タンク貯蔵所(タンクローリー)による危険物の移送は、その危険物を取り扱うことのできる危険物取扱者を乗車させ、危険物取扱者免状を携帯しなければなりません(コピーの携帯不可)。

危険物取扱者以外の人が危険物を取り扱う作業の立ち会いをする場合、危険物の貯蔵や取扱いに対して技術上の基準を遵守するように監督する必要があります。

危険物施設で、危険物取扱者以外の者が危険物を取り扱う場合、指定数量未満でも甲種または乙種危険物取扱者の立ち会いが必要です。

危険物の取り扱い作業に従事している場合は危険物の保安に関する講習を3年に1回受講しなくてはいけません。免状の写真は10年ごとに更新する必要があります。

危険物保安統括管理者

資格

危険物を大量に貯蔵し、取り扱っている製造所などは総合的な保安管理を充実させるため、一定数量以上の第4類危険物を貯蔵または取り扱っている事業所については、事業所全体の危険物に関する保安業務を統括管理する危険物保安統括管理者を定めなければなりません。

危険物保安統括管理者の資格は特に定められていませんが、その責務が製造所などの保安に関する業務全てを統括管理することから、事業所の業務に関して統括責任を持つ人が選任されることが望ましいです。

業務

複数の危険物製造所などがある事業所の、効果的な保安管理の活動や体制を取るために、事業所の危険物・危険物施設の保安業務を統括管理し、事業所全体の安全を確保することです。

選任対象施設

選任対象事業所は、つぎのとおりです。

  • 製造所または一般取扱所で、指定数量の3,000倍以上の第4類の危険物を取り扱う事業所
  • 特定移送取扱所で、指定数量以上の第4類の危険物を取り扱う事業所

危険物保安監督者

資格

特定の製造所等の所有者、管理者または占有者は、危険物保安監督者を選任しなくてはなりません。危険物保安監督者に選任できるのは、6か月以上の危険物を取り扱った実務経験を有する、甲種または乙種危険物取扱者(取り扱える類のみ)です。

責務

危険物取扱者に課せられた責務に加えて、危険物取扱者と危険物の取扱い作業に従事するものに対して、保安業務全般にわたる適切な指示、監督を行い、危険物製造所等の安全を確保することです。

選任を必要とする製造所等

保安監督者を選任しなくてはいけない製造所等は次の表のとおりです。
hoankantoku

危険物施設保安員

資格

危険物施設保安員とは、製造所などで危険物保安監督者の下で、製造所等の構造、設備に関わる保安業務を行う者のことで、資格は特に必要ありませんし市町村長等への届出の義務はありません。

業務

危険物施設保安員の業務としては次のことがあります。

  • 製造所などの構造、設備を技術上の基準に適合するように維持するため、定期点検と臨時点検を行う。
  • 点検の状況及び保安のために行った措置を記録し、保存する。
  • 製造所などの構造、設備に異常を発見した場合は、危険物保安監督者その他関係者に連絡と適当な措置をとる。
  • 火災が発生したときや火災発生の危険性が高いときは、危険物保安監督者と協力して応急措置をとる。
  • 製造所等の計測装置、制御装置、安全装置の機能が適正に保持されるようこれを保安管理する。
  • 以上の他、製造所等の構造、設備の保安に関し必要な業務を行う。

選任対象施設

  • 製造所、一般取扱所で、指定数量が100倍以上の危険物を取り扱う
  • 移送取扱所で指定数量以上の危険物を取り扱う
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次