危険物は数量によってはどこでも貯蔵・取り扱っても良いのではなく、決められた場所でのみ使用できるように定められています。
この記事では危険物の取り扱いの制限や取り扱う施設、そして危険物の指定数量について説明します。
貯蔵・取り扱いの制限
消防法では「指定数量以上の危険物は、貯蔵所以外の場所でこれを貯蔵し、又は製造所、貯蔵所及び取扱所以外の場所でこれを取り扱ってはならない」と定めています。(消防法第10条第1)
許可が出た場所でしか危険物の貯蔵・取り扱いは出来ません。
危険物を取り扱う施設
指定数量以上の危険物を取り扱う施設は製造所・貯蔵所・取扱所に分類されます。
製造所
危険物を製造するため、1日に指定数量以上の危険物を取り扱う施設。
貯蔵所
指定数量以上の危険物を貯蔵・取り扱う施設で7種類あります。
- 屋内貯蔵所
建物の屋内で危険物を貯蔵・取り扱う施設
- 屋外タンク貯蔵所
屋外のタンクで危険物を貯蔵・取り扱う施設
- 屋内タンク貯蔵所
屋内のタンクで危険物を貯蔵・取り扱う施設
- 地下タンク貯蔵所
地下に埋められたタンクで危険物を貯蔵・取り扱う施設
- 簡易タンク貯蔵所
簡易タンクで危険物を貯蔵・取り扱う施設
- 移動タンク貯蔵所
車両に固定されたタンクで危険物を貯蔵・取り扱う施設
- 屋外貯蔵所
屋外で第2類の危険物で硫黄、硫黄のみを含有するもの、引火点が0℃以上の引火性固体。
第4類の危険物で第一石油類(引火点が0℃以上に限る)、アルコール類、第二石油類、第四石油類、動植物油類を貯蔵・取り扱う施設
取扱所
1日に指定数量以上の危険物を取り扱う施設で4種類あります。
- 給油取扱所
固定した給油設備によって自動車等の燃料タンクに直接給油するための危険物を取り扱う施設
灯油、軽油を容器に詰め替えるために固定された注油設備で危険物を取り扱う施設
- 販売取扱所(1種と2種)
第1種販売取扱所
店舗で容器に入ったままで販売するための施設で、危険物を取り扱う指定数量が15倍以下
第2種販売取扱所
店舗で容器に入ったままで販売するための施設で、危険物を取り扱う指定数量が15
を超え40倍以下
- 移送取扱所
配管やポンプなどの設備を使って危険物の移送取り扱いをする施設
- 一般取扱所
給油取扱所、販売取扱所、移送取扱所以外の危険物を取り扱う施設
大きな工場などでは作業用機械に使われる作動油の量が指定数量を超えて「一般取扱所」に該当することがあります。
危険物の貯蔵・取り扱い数量の制限
施設によっては貯蔵・取り扱いの許可があっても数量の制限があります。
制限のある施設は次のとおりです。
屋内タンク貯蔵所
指定数量40倍以下、20,000リットル以下
※第4石油類または動植物油類以外の第4類を貯蔵する場合は20,000リットル以下
簡易タンク貯蔵所
1基600リットル以下(3基まで)
※同一の危険物は2基までしか設置できません。
移動タンク貯蔵所
30,000リットル以下
給油取扱所
地下専用タンク1基30,000リットル以下
第1種販売取扱所
指定数量15倍以下
第2種販売取扱所
指定数量15倍を超え40倍以下
数量の制限がない施設
- 製造所
- 屋内貯蔵所
- 屋外タンク貯蔵所
- 地下タンク貯蔵所
- 屋外貯蔵所
- 移送取扱所
- 一般取扱所
仮貯蔵・仮取り扱い
指定数量以上の危険物を短期間、貯蔵・取り扱いをする場合には、次のような例外が認められています。
- 10日以内の短期間であること
- 消防長(消防本部未設置の市町村は市町村長)または消防署長の承認を受けること。
短期間であれば貯蔵・取り扱いが出来ます。許可ではなく承認です。
危険物指定数量とは
危険物は物品により性質が違っています。そのため危険性にも差が出てくるので判定試験の結果から消防法で規制を受ける数量が定められました。
これが指定数量です。
指定数量以上の危険物は許可された場所以外では貯蔵、取り扱うことは禁止されています。また、貯蔵・取り扱うときは、類ごとの危険物取扱者が立ち会わないと使用してはいけません。
指定数量は基準ですので、取り扱う数量によって規制を受ける法令が違ってきます。
身近な第4類の指定数量
ここではガソリンや軽油、灯油といった生活に身近な危険物の指定数量を紹介します。
指定数量の倍数算定方法
指定数量の倍数とは、貯蔵・取り扱う危険物が指定数量の何倍なのかを表すものです。
倍数の計算方法は、貯蔵・取り扱う危険物の数量をその危険物の指定数量で割れば算定できます。
ガソリンを400リットル貯蔵する場合
ガソリンの指定数量は200リットルなので、貯蔵量400÷指定数量200で2となります。
指定数量は2倍です。
品名が違う複数の危険物を同じ場所で貯蔵・取り扱う場合は、その品名ごとの数量をそれぞれの指定数量で割ってから、すべて足します。
例えば倉庫内にある危険物の総量が指定数量以上となった場合、危険物施設となり、消防法の規制を受けることになるのです。
指定数量未満の危険物
指定数量未満の危険物は消防法ではなく、市町村条例の規制を受けることになります。危険物取扱者についても定めがないため居なくても取り扱うことができます。
危険物取扱者が不要といっても取り扱う危険物の性質などを理解して貯蔵・取り扱いをしましょう。
危険物貯蔵・取り扱い規制の例外
運搬
トラックなどに危険物を積み込み運搬することは、危険性が高いため指定数量に関係なく消防法の規制を受けます。
※タンクを車両に固定した移動タンクとは意味合いが違います。
消防法の適用外
航空機や鉄道、船舶はその運行方法の特殊性から危険物を取り扱うにしても消防法ではなく、それぞれ別の規制を受けています。
- 航空機は航空法
- 鉄道は鉄道営業法
- 船舶は船舶安全法
まとめ
指定数量以上の危険物は消防法の規制を受けるので、許可なく貯蔵・取り扱いをしてはいけません。
取り扱う場所や施設、数量などもそれぞれ規制があります。
指定数量の5分の1以上の危険物は市町村条例の規制を受けます。
航空機や鉄道、船舶のように危険物を貯蔵・取り扱っても消防法の規制対象にならないものもあります。
無許可で指定数量以上の危険物を貯蔵・取り扱いした場合消防法違反となり罰則の対象になります。
事業所で危険物を取り扱うことになった場合、数量次第で消防法か市町村条例の規制を受けることになるかもしれないので、最寄りの消防署に確認しましょう。
個人の家だと規制はかからないのかな
ほとんどの市町村では個人の家は指定数量の2分の1から規制がかかり、指定数量を超える場合は当然許可が必要になります。