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防火対象物の項判定はしっかりとしましょう

用途判定

大都市などであれば、予防業務専従の人員が居るでしょう。私の勤務した消防本部は専従も居ることは居るのですが、人数が限られているので他の者も担当を持って立入検査をしていました。

そんな消防の予防業務での防火対象物用途判定についての記事です。

目次

防火対象物の用途判定は正確に

防火対象物に消防法令の基準通り消防用設備が設置してあるかどうかは防火の観点からもとても大切なことです。

しかしその防火対象物が特定防火対象物なのか非特定防火対象物なのかで消防用設備にも大きな違いが出てくるので、防火対象物の項を判定するのは特に注意が必要が必要になってきます。

だいたいの防火対象物は、消防同意(建築確認や許可)の段階である程度の用途が決まっているので、建物に必要な消防用設備などを建築設計士に伝えて、建物完成まで進んでいくのが普通です。

建物が完成に近づき消防用設備士が工事の着工届けを提出する時に、防火対象物の用途が消防同意の時とは違ったものになっていて必要な消防用設備が変わってくるなんて話もあり、早く状況を確認する必要がでてきます。

そんな時は消防が防火対象物の項を早く判定してあげなければ、建物の所有者や管理者にこれからの具体的な話もできないので、正確にそして早く防火対象物の項を判定する必要があります。

関係者との十分な打ち合わせ

建物は建てたが、入居するテナントが決まっていない防火対象物もあります。そういった建物をスケルトン対象物といい、こういった建物は完成した後の立入検査では建物の用途が判定できない場合があります。

もともと入居する予定のテナントが特定用途ならまだ消防用設備の変更もないでしょうけど、非特定用途しか入っていないところに特定用途が入り、建物全体が16項イの複合用途防火対象物になった場合、建物規模によっては屋内消火栓やスプリンクラーなどが義務設置になってくる場合があるのです。

こういった事態になると、建物内の配管工事や非常電源や自家発電の設置などおおがかりな工事が必要になり、お金もかなりかかるので関係者は「そんなこと言われも知らない」とか「最初から言っておけ」とかともめる原因になります。

そうしたもめることのないように、建物の関係者と建築の段階から事前に十分打ち合わせしておく必要があるのです。しかしスケルトン対象物では実際にテナントが入らないと用途が判定できない場合がほとんですので、関係者に「テナントの用途によっては消防法令にしたがって消防用設備を適切に設置します」などの文書で残しておく必要があります。

面倒かもしれませんが、文書で残しておかないと言った言わないの水掛け論になってしまうからです。

立入検査の時に確認すること

消防の立入検査でどういったことを見ていますか?消防用設備が基準どおりに設置されているかや、避難通路が確保されているかなど見るべきポイントはたくさんあります。

今回は用途判定に関しての記事なので、立入検査の時に用途判定で確認することを簡単に抜き出してみました。

  • 単一の用途なのか、複合用途になるのか
  • みなし従属や、機能従属の部分があるか
  • 消防法施行令第8条の適用部分に変更があるか
  • 入居しているテナントに変更はあるか
  • 1日の中で用途が変更になるテナントはないか
  • もともと離れていた棟が接続されていないか

特に雑居ビルなどは入居テナントがころころ変わるので、しっかりと確認する必要があります。

予防の勉強もしましょう

消防に採用されたばかりの消防士の多くは予防業務よりも訓練や他の業務など覚えることが多くて、予防業務まで手が回らないかもしれません。
しかし、予防業務も消防の大事な仕事のひとつです。空いた時間に少し法令を読むだけでも違うので、予防の勉強もしましょう。

できれば本など紙で勉強してください。いまはインターネットで調べたら、ほとんどのことは知ることができます。ですが、インターネットで調べた結果を何か残してますか?その場では分かったつもりでも、すぐに忘れていませんか?

私も若いころには予防のことは一切勉強していなくて、異動で予防担当を持ち苦労した覚えがあります。その時は上司や先輩に恵まれていたので、分からないことはすぐに教えてもらうことができました。

もう退職された予防専従の方は実務六法にたくさん付箋やマーカーで印がついていました。質問するとパラパラっと六法をめくり、ここに書いてるぞと教えてくれたものです。

でも結局自分が調べて書いておかないと忘れるものなんですよね・・・

おわりに

防火対象物の項判定は、関係法令などをよく読んでおかないと答えは見えてきません。

間違った用途判定をして、建物関係者が不利益をうけることになってはいけません。

用途判定を間違えて指導していたため、相手側が不要な消防用設備を設置することになり不利益を受けたと賠償問題になることもあります。

予防業務の日が浅かったり、若い職員は経験が少ないのは仕方のないことですから、自分自身で調べて勉強しましょう。予防業務も消防の仕事です。法令を読んだりするのは正直面倒ですけど、コツコツ勉強して経験を積みましょう。

法令の範囲も広いです。少しずつでも良いので時間を大切に使い勉強して自分の力にしましょう。

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