アマチュア無線をしてる人や消防好きな人などは、数年前まで個人で受信機を使って消防や救急活動の無線を聞いていたと思います。
しかし、いまはどんなに周波数を合わせようとしても何も聞こえない(聞こえてても雑音)状況でしょう。どうしてなのか知ってますか?
消防無線のデジタル化
消防無線はアナログ150MHz帯の使用を終了して、新しくデジタル260MHz帯へ移行しました。誰でも聞けたアナログ無線形式から秘匿性の高いデジタル無線に変わったのです。
なぜデジタル化したのか
データの送受信ができる
アナログ無線に比べてデジタル無線は、無線(音声)だけでなく様々な情報を同時に送受信することができます。
例えば車両のGPS情報をデジタル無線を使って指令センターに送ると、消防車や救急車の位置が無線で聞かなくてもどこに居るのか分かるようになり、現場に一番近い車両を現場へ向かわせることができるし、指令センターからは指令書や通報者の電話番号、名前を正確に車両のモニターへ送ることができます。
無線だと指令の聞き間違いなどありますが、文字として画面に表示されるので間違いがないですしね。
部外者に聞かれなくなる
これまでのアナログ無線は、上でも書いたように誰でも簡単に聞くことができました。ですので個人情報の取り扱いなどは、慎重に喋る必要がありました。
ですがデジタル無線になると、0か1のデジタル情報つまりパソコンのように情報を暗号化して送ることができるようになるので、仮に受信機で受信できても暗号解読キー(鍵)がない限りは聞くことができないのです。
受信機も基本的には個人が購入できないようになっています。
消防救急デジタル無線用受令機の使用は自治体が認める関係者に限定されています。
周波数は発注者の指定通りに専用のソフトで設定され、ユーザー側で変更することはできません。
アイコム株式会社
デジタル無線のデメリット
デジタル化になってすべてが良かったのかというと、そうではありません。
0か1
アナログは建物や山などの障害物があっても意外と電波が回り込んだりして、鮮明に聞こえないが、なんとか聞こえるという使い方ができました。それに比べてデジタルは聞こえるか聞こえないかの2つしかないので、無線がギリギリ届かない場所だと意思の疎通ができません。
そもそものエリアが狭い
デジタル化になると、アナログよりサービスエリアが狭くなったりするのです。アナログと同じ範囲で通信できるようにしようと思ったら、アナログのときより設備規模を大きくしないと無理なのです。
デジタル変換するロスタイム
普段皆さんが喋ってる声はアナログです。それをデジタルに変換して送信しないといけないため、どうしてもデジタル変換するときのタイムロスが生まれてきます。
消防の活動なら、この程度のロスタイムは影響ないですけどね。
野球中継でAMラジオの方が地デジより早く聞こえるのはアナログかデジタルかの違いです。
機械が高い
アナログに比べデジタルはどうしても価格が高くなってしまいます。
消防本部のすべてをデジタル対応させるには、そうとうなお金が必要になるため近隣の消防本部が共同で指令センターを運用するケースが増えたのもデジタル化の影響といえます。
おわりに
無線がデジタル化になって一般の人が消防無線を聞く楽しみがなくなったかもしれません。
ですが、現場は聞かれてるとか関係なく、デジタルによって指令書が受信できるのが大きなメリットでした。
ちなみに私が好きな航空自衛隊の航空ショーで1番人気といっても過言ではない『ブルーインパルス』は無線交信にアナログ無線を使用しているので、受信機があれば次に披露する技など分かって面白いですね。