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消防救助の人命検索方法を覚えましょう

火災現場で火を消すことよりも大事なことは、そこに取り残されているかもしれない人命救助です。
私が救助隊だった頃に作った教養資料を使って人命検索の方法をご紹介します。

目次

人命検索要領

出動途上に指令センターから要救助者の有無について情報を得ます。

当然指令センターも通報者からの情報しかないので、出動隊は基本的に要救助者が居る前提で活動することになります。

人命検索は、現場到着と同時に実施し、災害の規模にかかわらず、被災対象物の全域にわたって実施する。
なお、検索終了箇所に検索終了表示及び救助指揮の管理により、検索が重複または検索漏れがないように配慮する。

人命検索及び救助の通則

  • 火災現場には、要救助者が必ず居るものとして活動し、人命検索及び人命救助活動を最優先とする。
  • 検索活動は、2名以上1組とする班編成を行い、担当区域を明確にして実施する。
  • 要救助者情報の入手・要救助者の発見及び要救助者の救出時は、現場指揮及び各隊員に急報する。
  • 要救助者の存在が予測される場合、または「人命検索異状なし」の確認が取れるまで、検索の態勢は継続する。
  • 建物の用途または発生時間帯等から人命危険があると判断される時は、聞き込み活動と併用して検索活動を実施する。
  • 検索活動にあっては、火元建物または類焼建物関係者から内部の状況を聴取し把握する。
  • 内部の状況が把握できない時は、部屋の周りの壁体沿いに移動しながら中央を確認する等効果的な行動をとり無駄な活動を避ける。
  • 検索活動は退路を確保する。
  • エレベーターが火災階に止まっている場合は確実に検索を行なう。
  • 援護注水の支援を受ける。
  • 空気呼吸器・強力ライト・ロープ・携帯警報器・警笛・磁石等を装着する。

検索順位

検索活動は、建物の用途・構造・区画等を考慮し火災の拡大や煙の流動を確認または予測して、緊急を要する場所から行なう。

しかし、情報収集の結果、要救助者の推定所在場所が判明した場合は、その箇所を優先的に検索実施し、情報等が無い場合、以下の順位にて実施する。

  • 出火建物を先に、延焼建物を後にする。
  • 火元に近い所から検索する。
  • 出火建物の延焼階を優先し、次いで上階、下階を行なう。
  • 各階層にあっては、延焼危険となる区画、煙の噴出し側を先とし、吸気側または延焼危険の少ない区画を後に行なう。
  • 居住建物を優先し、倉庫及び空家等は後にする。
  • 病院は、重症患者の病室を優先する。
  • 講堂及び集会場等の大区画建物内は、まず壁沿いを、次に中央部を行なう。

建物内の検索重点箇所

建物内の検索箇所は、火元関係者等の情報に基づく箇所を第一に優先するが、以下の箇所に重点を置く。

  • 階段室付近及び踊り場
  • 寝室
  • 廊下の曲がり角
  • 行き止まりになった階段及び廊下
  • 窓際及び部屋の隅
  • エレベーター内及び昇降ロビー
  • ベランダ等の出口及びその付近
  • トイレ・風呂場・台所・押入れ・ベッド・テーブルの下等の煙や熱を避けるための一時的避難場所
  • 個室及びロッカー・賞品ケース等の大型家具内またはその間
  • 避難器具の設置されている付近
  • 納戸・物置等
  • その他、避難行動における走光性及び追従性を考慮して検索する。

● 走光性 避難者が停電・煙等で避難経路を見失うと、明るい方向を目指して逃げる傾向がある。
● 追従性 他の人の逃げる方向へ逃げる傾向があり、要救助者の発見地点付近には、他にも人が居る場合が多い。

  • 構造が中廊下式の建物は、片側の室を櫛状に検索し、次いで反対側を実施する。ただし、火災により困難な場合は両側同時に行なう。

※ 検索時、常に緊急脱出の方法を念頭に置き、空気呼吸器残圧に配慮する。また、体調及び器具等に異状が生じた場合は活動を中断し、速やかに脱出する。

検索活動時の姿勢及び確保ロープの設定について

  • 検索活動時、姿勢を低くし壁体に沿って進入し膝を床につけない。
  • 生命のサイン(うめき・叫び・呼吸音)を確認しながら検索する。
  • 原則として検索ロープを設定し、退路の確保を行い進入者の安全を図る。ただし、火災の規模・建物区画等を考慮し、隊長は検索ロープを省略できるものとする。
  • 検索ロープ設定時、確保補助者を必ず配置し、進入隊員の安全と活動の効率化を図る。やむを得ず確保ロープを進入口の支持物に結着する時は、確保ロープであることを明示する。

救助指揮(通信連絡員)への連絡等

  • 大区画、多区画または危険切迫下等救助隊員が活動困難または二次災害の危険があるような場所に進入する場合及び同場所から脱出した時は、進入前及び脱出後、通信連絡員に連絡し、この旨を通信連絡員は現場最高指揮者へ報告する。
  • 通信連絡員は、連絡を受けた隊員名・進入時間・進入場所を記録し、その都度指揮隊長に連絡する。
  • 脱出困難または二次災害の危険が特に予測される場所に隊員を進入させる時は、原則として、現場最高指揮者の指揮により行い、組織的な万全の措置をとる。

検索救助活動の留意事項

  • 延焼危険が大きい場所や煙の滞留が予測される場所では、急激な延焼拡大や吹き返しに注意する。
  • 木造建物を検索する場合、ストレート注水で落下危険がある物を排除する。木造建物の2階以上を検索する場合、階下の延焼状況・足元の強度及び床等の踏み抜きに注意する。
  • 救出活動に際して建物倒壊に注意し、五感を最大限に発揮する。
  • 進入距離等からの脱出所用時間を判断した空気呼吸器の使用時間に注意する。
  • 要救助者情報の報告内容

1.救出場所(階数・号室・場所等)
2.要救助者の人数(性別・氏名・年齢等)
3.要救助者の状態(負傷の有無及び負傷程度)
4.救出時間及び救出した小隊

  • 要救助者の位置・状態・搬送距離等を考慮した救出及び搬送方法を選択する。
  • 煙中で要救助者発見時、自発呼吸をしている者に対し簡易呼吸器を使用する。

進入、退出時のチェック事項

進入時のチェック事項

  • 進入隊員の氏名及び人員を確認
  • 検索区域、目標の確認
  • ボンベ残圧の確認(検索時間決定)
  • 合図の確認
  • 携行資器材の確認
  • 退出、救出経路の確認(退出経路は2方向を確保)

退出時のチェック事項

  • 退出隊員の氏名及び人員を確認
  • 検索箇所の確認
  • 危険箇所の確認
  • 使用資器材の確認

最後に

箇条書きにしてもたくさんありますが、これは日々の訓練で覚えていくしかありません。
現場で助けを待っている人のために頑張って覚えてください。

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