特定一階段防火対象建物ってどんな建物か解説します[防火対象物定期点検対象]

特定一階段防火対象物

テナントビルを所有していて、ある日突然消防署から特定一階段防火対象物に該当するので必要な措置をとってください。と通知が来たとします。

いきなり特定一階段防火対象物に該当するって言われても意味が分からないと思うので、特定一階段防火対象物(通称特一)について解説しようと思います。

この記事を読めば特定一階段防火対象物がどのような建物なのかが理解でき、ビルオーナーだけでなく、若い消防士の教養にもなるかと思います。

目次

特定一階段防火対象物とは何か

避難階段が屋内の1つしか無い

特定一階段防火対象物とは

地下階、3階以上の階に特定用途があり、その階から避難階に至る階段が屋内の1箇所しかない建物です。

つまり屋内階段が1箇所しかない建物は地下階や3階以上の階に特定用途がテナントとして入居すると特定一階段防火対象物に該当するってことです。

特定用途とは、消防法施行令別表第一に記載されている・・・と言っても難しいと思うので、飲食店や販売店、病院や福祉施設などが該当してきます。

クマ

主に不特定多数の人が出入りする用途ですね。

バー店長

うちのバーは会員制なので不特定多数の出入りは無いけど・・・

クマ

会員制でも飲食店は特定用途に該当するので関係ありません。

特定一階段防火対象物に該当する例

特定一階段防火対象物

①は3階に飲食店があり、避難階段が屋内の1箇所にしか無いので該当します。

②は①と同じように地下階に飲食店があり、避難階段が屋内の1箇所なので該当します。

③は屋外階段も有るので3階の飲食店は特定一階段の要件に該当しませんが、地下階が該当します。

④は屋内階段が2箇所有るので該当しないと思いがちですが、AとBのテナントは壁で隔てられて行き来が出来ないため、3階テナントのみ避難階段は1箇所となります。

エレベーターがあったとしてもエレベーターは避難施設として認められないので、屋内階段が1箇所だと特定一階段防火対象物に該当します。

地下階や3階以上が倉庫や事務所でも特定一階段防火対象物に該当する場合もある

屋内階段が1箇所しかない地下階や3階以上を特定用途ではない倉庫や事務所として使用するなら問題ないと思われるかもしれませんが、ダメな場合もあります。

図は3階を店舗の事務所として使用している例ですが、この場合だと事務所は店舗の用途で使用するため特定用途となります。

そのため特定一階段防火対象物に該当することになるのです。

今回の場合だと建物の用途は販売店(消防法施行令別表第一 4項)となります。

レアケースだと該当しない

なかなか該当するような建物は無いと思いますが、3階に特定用途が有ったとしても3階から渡り廊下などで直接避難できる場合は特定一階段防火対象物に該当しません。

他の建物と接続すると消防用設備の増設や建築基準法等の違う法律が関わってきますが・・・

特定一階段防火対象物に該当するとどうなるのか

特定一階段防火対象物に該当すると、消防用設備の変更や消防署へ提出する報告書が増えます。

つまりビルオーナーの場合、特定用途が入ったために出費が増えるということになるのです。

屋内に階段が1つしか無い場合はテナントが入る際に確認する必要がありますね。

自動火災報知設備の強化

特定一階段防火対象物で無ければ、階段室に設置する煙感知器は15メートルごとで良かったものが7.5メートルになるので感知器を増設する必要があります。

受信機に関しても再鳴動機能付きの受信機に変更しないといけません。

これは火災を感知して建物内のベル(サイレン)が鳴っているのを誰かが止めても、一定時間後に再び鳴り出す機能です。

避難器具の強化

避難器具は屋内階段が1箇所しかなく逃げ遅れが発生する可能性が高いことから重要になってきます。

①~③の中から選んで設置しないといけません。④は必ず必要です。

  1. 安全で容易に避難できる構造(木造はダメ)のバルコニーなどに避難器具を設置する。
  2. 避難器具が常時、容易かつ確実に使用できる状態にある。常時なので壁に固定されたハシゴや滑り台、滑り棒などが該当します。
  3. 1動作で確実に作動する避難器具を設置する。窓を開けたり、避難器具のロックを解除する動作は除きます。
  4. 避難器具の設置が分かるように表示を強化する。

①避難器具の設置

マンションなどのベランダやバルコニーに有る避難器具と同じです。ただし避難ハシゴは穴を開けたり溶接の必要が有るので後付は現実的でないでしょう。

②常時使用可能な避難器具を設置

固定式のハシゴ、固定式のタラップ、滑り台、登り棒を常時使用可能な状態で設置しておく必要があります。常時使用可能な状態なので防犯対策は必須になるでしょう。

③1動作で作動する避難器具を設置する

通常はこの③が一番設置しやすいのかと思います。

1動作式の避難器具も緩降機やハシゴ、救助袋など種類が有るので、設備士と相談して設置します。

④避難器具の設置を分かりやすくする

避難器具が設置されている場所や出入り口に避難器具が設置されていることが容易に分かるように表示をしないといけません。

避難器具を設置している場所に避難器具だとすぐに分かるように表示と取り扱い方法を掲示する必要があります。

避難器具が設置されている階のエレベーターホールや階段室には避難器具が設置されている場所を示した図を掲示しないといけません。

防火対象物定期点検報告が必要となる

消防用設備の点検だけでなく、防火対象物(建物)の防火に関する点検が必要となってきます。

簡単に言えば建物が防火管理上適切に維持管理されているかを防火管理点検資格者に点検させて報告するものです。

特一が定められた経緯

2001年9月に秋葉原の雑居ビルで多くの逃げ遅れ者が亡くなるという火災が発生したためです。

このビルは屋内階段が1箇所しかなかったため、同じような建物は火災が発生した場合に危険であるとのことから規制が強化されました。

消防法は、何らかの災害や火災が発生しないと改正することが難しいので、特定一階段防火対象物もこの火災を機に消防法に記載されることになりました。

近年では糸魚川市の飲食店からの火災拡大で飲食店に消火器の設置が義務化されましたよね。

まとめ

特定一階段防火対象物とは屋内階段が1つしかない建物で地下階、3階以上の階に特定用途が有る場合に該当します。

消防用設備の増設や変更、防火対象物の点検報告が必要となってきます。

もともと防火管理者が選任されているなら問題ありませんが、収容人数によっては防火管理者の選任と消防計画の作成が必要になります。

防火管理者については統括防火管理者を選任する必要も出てきます。

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