【若手向け】令8区画を図を使って分かりやすく説明します

先輩、ここの事務所には消火器とか何も有りませんが良いのですか?

令8だから問題なし
台帳も見てないの?

令8?
聞きづらい雰囲気・・・

このように立入検査などに行った際に、消防用設備がまったく設置されていない対象物に出会ったことは有りませんか?

先輩とのやりとりのように教えてくれない先輩もいると思います。

この記事では、そんな先輩に代わって【令8区画】について説明します。

令8区画に該当すると同じ建物を区分けして別の対象物として算定できるようになるのです。

ただし防火管理は区分けできません

令8区画は消防用設備の設置要件に関わってくるので、しっかり把握しておきましょう。

目次

令8とは何なのか

令8区画の説明をする本や資料には、ほとんど次のように書かれています。

「防火対象物が開口部のない耐火構造(建基法第2条第7号に規定する耐火構造をいう。)の床又は壁で区画されているときは、その区画された部分はそれぞれ別の防火対象物とみなす。」

そもそもこの文章がどこに存在しているかというと、冒頭でも書きましたが「消防法施行令第8条」の条文が、この記載なのです。

消防法施行令の【令】と第8条の【8】を使って【令8】って略されているってことですね。

そのため多くの職員は令8とか令8区画って言います。

この記事では令8区画で統一しますね。

令8区画とはどんな建物?

令8区画が何の略か分かったので、次は令8区画とはどういった建物なのかを解説します。

令8区画を簡単に説明すると、耐火構造の壁や天井、床で区画された部分のことです。

そしてその区画同士を繋ぐ出入り口などは存在しません

例えば図のように事務所と倉庫が令8区画だとしたら、事務所と倉庫を行き来する場合には面倒でも外を回る必要があるってことです。

面倒だからと扉などを設置すると令8区画ではなくなります。

令8区画事務所

ポイントは区画する構造が耐火構造でなければダメなので、準耐火構造や木造の令8区画は存在しません。

レアケースですが、木造の建築物でも区画を分ける壁が耐火構造なら令8区画になります。

どのような場合が令8区画に該当するのか

50cm以上の突き出しを設ける

令8区画に該当するパターンその1は、0.5m以上の突き出し(庇のような壁)を設けた場合です。

図で言えば緑と青の部分で別の対象物となります。

耐火構造の壁と突き出しで区画されていたら良いので、窓などは自由に設置可能です。

令8区画

突き出しを設けない場合

令8区画に該当するパターンその2は、付け出しを設けなくて良い場合です。

外壁又は屋根が令8区画を含む幅3.6m以上にわたって耐火構造、かつ、この部分に開口部がない場合は令8区画として認められます。

令8区画イメージ図

先程の突き出しがあるパターンと違うのは、幅3.6mの範囲内には開口部を設けられないってことです。

オーナー

どうしても窓が必要なのだが・・・

そんな場合には、開口部を防火設備(網入りガラスや防火戸など)にして、隣り合う開口部を0.9m以上離すことで令8区画と認められます。

令8区画開口部

令8区画を貫通する配管

令8区画を配管等が貫通することは,原則として認められません。

令8区画にすることで延焼を防げるので消防用設備の設置が緩和されているのに、配管を通って延焼したら意味ないですかしね。

しかし建物の建築上どうしても配管を通す必要が出てくる場合もあるでしょう。

その場合は、必要不可欠な配管で令8区画を貫通する配管等について、開口部のない耐火構造の床又は壁による区画と同等とみなすことができる場合は貫通が認められます。

ただし配管の種類や大きさなどが決まっています。

  • 給排水管であること
  • 配管の直径は200mm以下であること
  • 配管を通す穴は300mm以下であること
  • 穴同士は200mmまたは300mm以上離すこと
  • 配管は令8区画の耐火性能を有すること
  • 施行の穴はモルタルなどで埋め戻して耐火性能を有すること

給排水管であること

貫通する配管がガス管や油管だった場合、簡単に延焼してしまいます。

配管の直径は200mm以下

通常の給排水管で直径が200mmなら十分の給排水能力があります。

管が大きくなればなるほど延焼危険は高くなるので、外径200mmに決められています。

配管を通す穴は300mm以下

耐火構造の壁に穴を開ける場合には、300mm以下となる工法で行う必要があります。

開けた穴は埋戻しする必要があるので、配管に対して大きな穴だと後が面倒くさそうですね。

配管が矩形(四角)など円形ではない場合、直径が300mmの円の面積以下となるようにする必要があります。

令8区画貫通部

穴同士は離して施行

配管を貫通させるために令8区画に設ける穴相互の距離は穴の直径以上とします。

大きい方の穴を基準として、200mm以下の場合は相互距離は200mmです。

300mm以上の穴を貫通できないので、以下のとおりとなります。

  • 穴300mmなら相互距離300mm以上
  • 穴200mm以下なら相互距離200mm以上
令8区画相互間距離

配管は令8区画に求められる耐火性能

令8区画を貫通するのですから、配管も当然耐火性能を有していなければいけません。

貫通部に求められる耐火性能が2時間以下の場合は配管は2時間以上の耐火性能時間が必要です。

貫通部は完全に埋め戻す

貫通部はモルタル等の不燃材で完全に埋め戻して、十分な気密性がある状態にします。

令8区画の一番の弱点は貫通部なので、貫通部の埋め戻しは大事なのです。

さらに配管と同じように令8区画の耐火性能が2時間以下の場合は埋め戻し箇所の耐火性能時間は2時間以上必要となります。

令8区画になったら

令8区画の要件と区画を貫通する配管について説明しましたが、令8区画に該当するとどうなるのでしょうか?

消防法施行令第8条には、こう書かれています。「・・・その区画された部分はそれぞれ別の防火対象物とみなす。」

別の対象物となるので、同じ建物でも令8区画部分の面積によっては消防用設備の設置が不要になってくるのです。

建物の面積で屋内消火栓設備が必要になっていても、令8区画があることで面積を分けて設置を免れるってことも可能になります。

そのため消火器すら設置していない区画が存在するってことになるのです。

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