私が消防に入る頃(20年ぐらい前)は消防士っていうと男の世界ってイメージでしたが、いまでは全国で女性の消防士が活躍しています。
私が勤務していた消防本部にも数人女性の消防士がいましたが、救急隊や消防隊として現場に出動していました。
救助隊の選抜試験を受けたようですがダメだったみたいです。
消防士は階級のひとつで正式には消防吏員と呼びますが、消防士の方がわかりやすいと思うので消防士の呼び方で書きます。
この記事では、消防士を目指している女性が消防士としてやっていけるのかなどの疑問に答えます。
女性消防士の割合は?
総務省消防庁のデータによると令和3年4月1日現在で全国に消防士は165,463人居ます。
そのうち女性消防士は5,304人となっていて全体に占める割合は3.2%です。平成29年の約2.6%から増えましたが、まだまだ比率は低いと言えます。
この数値が高いのか低いのかの判断は皆さんに任せるとして、少しずつ増えていることがわかりますね。
私が消防学校に入校したときも、同期に女性消防士がいて、訓練を一緒にしました。男性に負けないようにと頑張っていたので見習う点が多くありました
消防学校については、こちらの記事をどうぞ
女性消防士は現場に出られるの?
女性消防士を目指している人が一番気になるのは、女性でも火災現場などに出動出来るのか?ってことでしょう。
結論としては「男性職員と同じように災害出動します」
かなり昔の話になりますが、平成6年(1994年)に「女性労働基準規則」が一部改正され、女性消防士でも24時間勤務で消防業務を行えるようになったのです。
現場に出れば男性も女性も関係ないので、放水を担当したり消防車の運転をしたりといった現場活動を行うことになるので、現場に出れないって心配はありません。
ただし消防本部(局)によっては予算の都合上、女性用の仮眠室や風呂場を作る余裕がなく日中だけ仕事を行う毎日勤務に配属されるかもしれません。
採用後は現場に出て活動したいって思っている人は、願書提出前に女性消防士の待遇について問い合わせた方が良いでしょう。
現場にいてくれて助かったこと
女性消防士が一緒に救急出動してくれてたから助かったこともあります。
たとえば救急の傷病者が女性で、自分たち男性の隊員には話にくい症状のことでも、同じ女性同士なら話もしやすいので症状などを聞き取りやすいですし、やっぱり男性と違って雰囲気も傷病者に柔らかく対応することができます。
それに体温測定や心電図を貼る際にも男性の救急隊に触られるよりも同じ女性の方が良いですよね?
このように女性が救急の傷病者の場合は特に助かるなぁって思っていました。
救急隊とはいえ男性に言いにくいこともありますよね
なかには女性消防士だからと高圧的に話してくる傷病者なんかも居ましたけど、そんなときはすぐに自分たちの出番でした
女性消防士で困ったこと
全員ではありませんが、女性消防士はどうしても男性消防士に比べたら筋力が劣ります。ですので、重たい傷病者を搬送するにも男性隊員に負担がかかるし、傷病者も搬送中不安に感じますよね。
消火活動するにしても放水や三連はしごの搬送など活動に必要な資機材を持ってきてもらうのに女性消防士には頼みにくかったです。
そのように現場活動中にも気をつけておく必要がありました。もちろん男性消防士でもダメな奴はダメなので、そういった消防士は・・・
消防署は夜中に必ず受付員が1名以上交代で起きています。もちろん女性消防士も受付勤務があるので起こさないといけないのですが、仮眠室に入るわけにもいかず、電話連絡しても起きない・・・なんてことも。
男性消防士のように叩き起こせないのが困りもの・・・
採用試験を受ける前に
上でも書きましたが、採用試験の願書を取り寄せる前に女性消防士の勤務体制について確認しておきましょう。
勤務体制を確認しましょう
消防士の採用試験は、男性・女性関係なく受験することができます。過去にニュースとなったどこかの医学部のように、女性だから係数を当てはめて男性よりも合格し難いとかありません。
ただし採用されて消防学校を卒業したからといって、自分が希望する消防署で24時間勤務が出来るとは限りません。
なぜなら消防署の多くは平成6年の改正以前から建っている建物が多く、女性消防士が働けるように女性用のトイレや仮眠室が無いのが当たり前だからです。
そのため女性消防士が勤務できる消防署も限られてきます。
基本的には消防本部(局)には女性用のトイレなどが完備されているので、消防署で勤務出来ない場合は本部での毎日勤務になるはずです。
産休などは取れるか
女性消防士が気になる点として、産休や育休が取れるかだと想います。
もちろん取れますし、男性消防士でも取ることが可能です。
同期の女性消防士も出産して産休・育休を取ってから現場復帰しました。
おわりに
これからも女性消防士は増えていくと思います。
現場で活躍している女性消防士もたくさんいますが、消防本部によっては女性用の設備が無いので交代勤務じゃなくて日勤として仕事をすることになるかもしれません。
消防士として現場に出て活動したいのならば、まずは採用試験を受ける前に女性消防士の勤務状況について問い合わせてみましょう。
いまは救急救命士やポンプ車やハシゴ車の機関員(運転)をする女性もいます。あなたの頑張り次第で救助隊にもなれるかもしれません。
もしも体力面に不安があり消防士を諦めようと思っているなら、大丈夫です。はっきり言って男性にも体力がない消防士はいます。なんで入れたの?って思う人も・・・
消防は現場だけがすべてではありません。予防業務なども大切な仕事です。だから体力に自信がなくても諦めずに試験を受けてみましょう。
消防士として採用されたら、交代勤務で現場に出る可能性も出てきますしね。