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無機過酸化物とは
無機過酸化物は、過酸化水素の水素イオン2個が金属イオンで置き換えられた化合物の総称です。
過酸化物とは、通常の酸化物よりも酸素原子が1つ多く結合しているので、とても不安定です。分子内に酸素原子が1つ多い状態を-O-O-(オーオー)結合と言います。
加熱により無機過酸化物と酸素に分解します。
酸との反応で過酸化水素を遊離するため、分解して酸素を発生します。
無機過酸化物に属する主な物質には次の物質があります
過酸化カリウム、過酸化ナトリウムは『アルカリ金属の過酸化物』
過酸化カルシウム、過酸化マグネシウム、過酸化バリウムは『アルカリ土類金属の過酸化物』
上記のように無機過酸化物は2種類に分かれます。
共通する特性
アルカリ金属の過酸化物
- アルカリ金属の過酸化物(またはこれを含有するもの)は、水と反応して酸素と熱を発生する
- 貯蔵・取り扱いは、水や湿気に接触しないようにする
- 火災を起こした場合、初期段階であれば粉末消火器や乾燥砂などによる窒息消火を行い、中期以降は危険物ではなく、周りの可燃物に大量に放水して延焼を防ぐ
アルカリ土類金属の過酸化物
- アルカリ金属の過酸化物ほど激しく反応しない
- 火災を起こした場合、アルカリ金属の過酸化物と同じように危険物に放水しない
- 貯蔵・取り扱いには酸類と接触しないようにする
過酸化カリウム
形状
オレンジ色の粉末
性質
- 比重 2.0
- 融点 490℃
- 融点以上の温度で分解して酸素を発生させる
- 水との作用により熱と酸素を発生させ、水酸化カリウムを生成する
- 吸湿性が強くて潮解性がある
危険性
- 大量に存在している場合、水と反応すると爆発する危険がある
- 可燃物や有機物と混合している場合は加熱、衝撃、摩擦などにより発火して爆発する危険がある
- 危険物に触れると、皮膚を腐食させる
貯蔵・取り扱い方法
- 加熱、摩擦、衝撃を避ける
- 可燃物、有機物との接触を避ける
- 貯蔵容器は密栓して貯蔵する
- 水や湿気との接触を避ける
消火方法
火災初期であれば、粉末消火器や乾燥砂などを使用して窒息消火により消火させる。
火災中期以降は周囲の可燃物に大量に放水して延焼を防ぐ。
過酸化ナトリウム
形状
黄白色の粉末
純粋な物質は白色
性質
- 比重 2.8
- 融点 460℃
- 約660℃で分解して酸素を発生させる
- >水との作用により熱と酸素を発生させ、水酸化ナトリウムを生成する
- 吸湿性が強い
危険性
- 大量に存在している場合、水と反応すると爆発する危険がある
- 可燃物や有機物と混合している場合は加熱、衝撃、摩擦などにより発火して爆発する危険がある
- 危険物に触れると、皮膚を腐食させる
貯蔵・取り扱い方法
- 加熱、摩擦、衝撃を避ける
- 可燃物、有機物との接触を避ける
- 貯蔵容器は密栓して貯蔵する
- 水や湿気との接触を避ける
消火方法
火災初期であれば、粉末消火器や乾燥砂などを使用して窒息消火により消火させる。
火災中期以降は周囲の可燃物に大量に放水して延焼を防ぐ。
過酸化カルシウム
形状
無色の粉末
性質
- 比重 2.9
- 融点 250℃
- 水に溶けにくい
- アルコール、エーテルに溶けにくい
- 酸に溶ける
- 275℃以上に加熱すると、分解して酸素を発生させる
危険性
- 275℃以上に加熱すると爆発的に分解する
- 酸に溶けると過酸化水素を発生させる
貯蔵・取り扱い方法
- 加熱、摩擦、衝撃を避ける
- 可燃物、有機物との接触を避ける
- 貯蔵容器は密栓して貯蔵する
- 酸類との接触を避ける
消火方法
乾燥砂などを使用して窒息消火により消火させる。危険物に放水はしない。
過酸化マグネシウム
形状
無色の粉末
性質
- 比重 3.0
- 融点 220℃
- 水に溶けない
- 酸に溶ける
- 湿気などにより酸素を発生させる
- 加熱すると酸素を発生させ、酸化マグネシウムになる
危険性
- 酸に溶けると過酸化水素を発生させる
- 有機物などと混合している場合、加熱、摩擦、衝撃などにより爆発する危険性
貯蔵・取り扱い方法
- 加熱、摩擦、衝撃を避ける
- 可燃物、有機物との接触を避ける
- 貯蔵容器は密栓して貯蔵する
- 酸類との接触を避ける
消火方法
乾燥砂などを使用して窒息消火により消火させる。危険物に放水はしない。
過酸化バリウム
形状
灰白色の粉末
性状
- 比重 5.0
- 融点 450℃
- 水に溶けにくい
- 800℃で分解して酸素を発生させる
- 熱湯と作用すると酸素を発生させ、水酸化バリウムになる
危険性
- 酸に溶けると過酸化水素を発生させる
- 毒性がある
- 酸化されやすい物質や、湿った紙などと混合すると爆発する危険性
貯蔵・取り扱い方法
- 加熱、摩擦、衝撃を避ける
- 可燃物、有機物との接触を避ける
- 貯蔵容器は密栓して貯蔵する
- 酸類との接触を避ける
消火方法
乾燥砂などを使用して窒息消火により消火させる。危険物に放水はしない。
第1類危険物
無機過酸化物以外の第1類
- 塩素酸塩類
- 過塩素酸塩類
- ☆無機過酸化物
- 亜塩素酸塩類
- 臭素酸塩類
- 硝酸塩類
- ヨウ素酸塩類
- 過マンガン酸塩類
- 重クロム酸塩類
- 過ヨウ素酸塩類
- 過ヨウ素酸
- クロム、鉛またはヨウ素の酸化物
- 亜硝酸塩類
- 次亜塩素酸塩類
- 塩素化イソシアヌル酸
- ペルオキソ二硫酸塩類
- ペルオキソホウ酸塩類
その他のもので政令で定めるもの